腹痛のときに授業を延長されることほど辛いものはない!
23歳女、職業はライターをしています。これは私が中学生の頃に体験した話です。
下痢って「ここでなるとちょっとまずい」って場面ありますよね。基本的にお腹は痛いやらトイレから出られないやら、お腹を下して嬉しいってことは絶対にないですが、例えば休日家でゴロゴロしている時ならまだマシでです。
腹痛の波が来たらトイレへ行って収まったら出て、それをいくらでも繰り返せるわけですから。
一方、それができない場面が、「ここでなるとちょっとまずい」場面です。例えば電車に乗っていたり車に乗っていたり、社会人の方であれば会議中なんて場面も挙げられます。
学生であればやはりそう、授業中です。「授業前に済ませておけ!今は我慢しろ、馬鹿野郎が!」なんて時代でもないし、普通に断ってから行けばいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、それは違います。
私は授業中にトイレに行けないタイプの生徒だった
学校には目立つタイプ目立たないタイプ、勉強ができるタイプできないタイプがいるように、「授業中トイレに行くタイプと行かないタイプ」というものいます。私は後者でした。
授業中トイレに行かないタイプの私が、授業中に下痢を伴っているであろう腹痛に襲われたのです。
あの独特の我慢できないタイプの痛み、「なんかお腹痛い」と思うより先に身体が「あ、トイレ……」と理解するあの感覚、一瞬で下痢だと理解しました。
黒板に書かれている内容も、先生が話す言葉も、教科書に引く赤線も、全てがどうでいいことでした。だって私はお腹を下しているのですから。
下痢だと理解した瞬間、私の意識は完璧に授業から隔離されたのです。お腹が痛い、トイレに行きたいと一瞬でも思ってしまえば、もう授業内容ほどどうでもいいものはありません。
否、トイレに行くことと腹痛の波以外の全てがどうでもよくなります。
授業時間の残り30分は地獄だった
授業時間は残り30分ほどありましたが、そこからは自分との闘いでした。「授業中トイレに行かないタイプの殻を破りトイレに行くか、我慢するか。
トイレに行ってしまったら最後授業中トイレに行かないタイプではなくなる、がしかしそれが一番安全な道、でもあ……お腹痛い。
仮に我慢できればなにも失うものはないが、それは相応のリスクをともな……う、これはちょっと待っ。そもそもここでトイレに行きたいと申し出れば私はクラスのみんなから『これがトイレに行きたい人間の姿である』と認識されながら見送られることになる……。あー無理無理無理神様ごめんなさい」
これが30分間続いたのです。
さらに不幸は重なるもので、その日の授業は少し押しました。
こっちはトイレに行きたくて死にそうなのに軽いノリで授業を延長しないで!
「あー、中途半端だからここまでやっちゃうか」そんな軽いノリで授業を延長する先生が憎らしかったです。
あの人は自分が軽い気持ちで延長した1分が、私の人生を破壊するかもしれない危険性を考慮しなかったのでしょうか。終業後は、教科書も仕舞わずトイレへ向かいました。
なんか人間の身体って、人間の身体って、こう、すごいなぁと思いました。
汚い話ですが、だってあんなになるものなのですね。その後は例によって世界が輝いて見えました。先生のことも許しました。
もちろん、「もう悪いことはしませんし一生のお願いですからどうかこの腹痛をお治めください」という神様への誓いはトイレを出た直後反故にしました。
ただ、これから先とんでもない悪事を働くつもりもないので、あのような体験はもうご勘弁くださいとは願っています。